楽器に対して抱えている悩みを聞いてもらい、解決方法を模索するためです。そうです、こんなへたれアマチュアでも「もっと良い音を出したい、上手くなりたい。」ともがくのです。
と言う訳で、まずはTuba88へ。 店主さんに、こちらの思っていることを伝えると理解を示してくれる訳です。 それで、疑問や悩みを解決するためにも、自分の楽器とは作りが違う楽器を吹いてみました。
以下に、私が吹かせてもらった楽器を忘れないように記して、一言付けたいと思います。 ちなみに、楽器は全部ピストンバルブです。
・Jupiter CB584L (CC)
台湾産の楽器。初めて吹きました。良い時代になった物で、フロントピストンのチューバが安価で買えるようになったんですね。
割と吹きやすい。スケールを吹いてみると、ピッチは良い方でした。
許容量はそんなに無いので、すぐにびびる。音色は艶や深みは余り感じられず、地の音がそのまま出てくる感じ。
・B&S Perantucci Model (F)
有名な楽器会社。でも、F管のピストンは初めて吹く。
音色は、アレキサンダーとは全く別物。太い音が出てきて、五線よりも下の音も吹きやすい。(GronitzのFP-125を吹いた時と感覚が近い。)欧州メーカーが発表する最近の楽器は、大型ピストンを採用しているので昔のピストンしか知らない自分からすると、大きく重く感じられます。
ピッチは音痴なアレキサンダーと比べるといいので、扱いやすいのは確かです。
欠点という欠点はないと思うけど、これは!と言うのもなかった印象です。
・Besson BE995 (C)
今までB管とEs管だけ作っていたイギリスの会社ベッソンが、ドイツで作ったC管。発表された時は「あのBessonが!?」と大きな注目を浴びた。発表時に、ベッソンのEs管(BE993)を愛用しているPatrick Sheridanが誇らしげに紹介していましたね。
設計は、この世界では超有名人、ドイツ人のWalter Nirschl。生産は、なんとライバル社とも言えるMeinl-Weston、B&SかNirschlの工場らしい。(最近出荷されているのは、B&Sらしい。)見た目はNirschl York 4/4とほぼ同じ。
吹いてみると、私との相性はまるでダメでした。鳴らす壺とかが全然つかめなく、まともに吹けなかった。音色もそんなに惹かれなかった。昔、Nirschl York 4/4を吹いたことがあったけど、その時も同じような感じで好印象はなかった。何でだろう。同様に、Hirsbrunnerのフロントピストンチューバも、世間の高評価に反して自分とは合わないんだよな。
・Meinl Weston 3450 (C)
世界最大のチューバメーカーMeinl Westonが久しぶりに出した4/4か3/4サイズのチューバ。ピストンバルブは例によって大きい。ただし楽器自体は、それほど大きくないので扱いやすいかな。比較対象が音痴なアレキサンダーだから、最近の楽器は総じてピッチは良いです。この楽器も、気になるところはあまりない。
音色はロータリーのB管と比べると非常に明るく、パリンパリン。許容量はそれほど無いみたいで、私のような下手くそが吹いても限界を迎えてしまう。一番鳴りにくい4番管でも、バリバリという。
と言う訳で、初心者や余り体力のない人には良い。でも、慣れてくると物足りなくなると思うし、編成が大きくなると厳しいかも。
・Meinl Weston 5450 "Thor"(C)展示品
・Meinl Weston 5450 "Thor"(C)倉庫にある隠し玉
この5450を吹くのは2回目。現在クリーブランドオーケストラでチューバを吹いている杉山先生が、サイトウキネンオーケストラで使っていたのは5450でした。ちなみにThorというのは、北欧神話かどこかの言葉で「雷」という意味らしいです。なので、ベルの所「雷」と彫ってあります。
音色は、英語で"a lot of Hammer Sound"と紹介するくらいなので、まあ、爆音、雷神でも暴れ回るようなイメージですね。実際、大きな音は出て、特に5線より下の音域の鳴りの良さは見事。ストレスを感じることなく息を入れた分だけ楽器が共振して、文字通りハンマーでぶっ叩いたような音かな。音色は倍音を多く含んで豊か。下第一線のEsは「ゴー」と鳴り、その太く豊かな音色は惚れ惚れします。ローマの噴水の「トレビの泉」やワルキューレ、惑星の「木星」を吹いてみると、特に低音域はGene Pokornyの演奏例のように太い音ながらも「バキバキ」で、さらに楽器全体がビリビリ共振し、自分が上手くなった錯覚に陥る罪作りな楽器。反面、高音域は思ったより扱いにくい印象。Petrouchkaのソロや惑星の「水星」などは音を取りづらかったかな。
個体差。これはあると思う。スケールを吹いてみると、その差がわかりました。隠し玉の方がピッチが良い。その他、音色や物理面(ロータリーレバーの取り付け位置)など、差はないと思った。
・Meinl Weston 195P "Fafner" (B)
ロータリーの195 "Fafner"が銘記として名高い。(でも、吹いたことはない。)N響の池田さんが、たまに使ってる。その195のピストン版。B管を吹くのは何年ぶりでしょうか。昔、ロータリーやBessonの縦バスとフロントピストンを吹かせてもらったことがあるので、それと比べてみました。第一印象は、抜けが良い。音のつまりが無く、そのままスコーンと鳴ってくれる。驚いたね、こんなB管があるんだね。B管でさらった曲は殆ど無いしもう覚えていないので、これと言って出来ることはないけど、最近のB管の進歩に触れることが出来て良かった。
今回は自分の楽器を持って行かなかったから、両方の良さや苦手なところを比べることが出来なかった。それは、またいつかそういう機会があればいいですね。
それと、最近のピストン楽器を見てみると、
1.枝管の切り方、処理が良い。
2.重い。
と思いました。普段、自分の楽器を持ち歩く時は片手で事足りますが、今回吹いた楽器はいずれも重くて片手じゃ無理です。改めてはっきりしたのは、自分の楽器が軽いと言うことです。だから、へこみやすいけど。
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