Cleveland Orchestra の演奏会に行ってきました。まだ、興奮冷めやまぬ処です。
今日、と言っても、もう日付が変わりました。演奏会に行ってきました。毎月のように行っていますが、今回は Cleveland Orchestra が San Francisco にやってきたので、San Francisco Symphony Orchestra(SFSO) を聴きに行った訳ではありません。
Cleveland Orchestra は、今更僕が言うのも何ですが、全米で1,2位を争う優秀なオーケストラです。世界的にも名前は知られています。そんな事もあり、今晩の演奏は大変楽しみにしていました。マエストロ Welser-Möst になってから、並べ方を変えたんでしょうか。現バスを最後尾に配置しています。最近、珍しいですよね。9本の弦バスが正面にずらっと並ぶのは、圧巻です。Cleveland の Severance Hall と Davis Symphony Hall は、ステージの形状が異なるので(前者は、長方形。後者は、扇形。)真正面には来なかったですが、この配列を生で見るのは初めだったので新鮮です。因みに、SFSO でもBlomstedt が振る時は、この並びになります。
マエストロ Welser-Möst の指揮。一介の奏者から見て、わかりやすかったです。棒を持つ右手は逐一振っている訳ではなく、重要な所は振りますが、お休みしている時間の方が長いです。その代わり左手は「こういう感じで」という振りと、アクセントの部分では左フックとボディーブローを見せます。やはり「左を制する者は、世界を制す。」という事ですね。
さて、演奏です。素晴らしかったですよ!正に名演だったと思います。最後のボレロが終わった時、ホールが割れんばかりの拍手が物語っています。SFSO とは色が違うので、簡単に比較はできませんが、音に更に厚みがあり、色がもっと鮮やかでした。アンサンブルも丁寧で、ずれる事はまずありません。(これは、開演前のアンサンブルの時点で、既に判明。)つまり、一言で言えば SFSO より上手という事です。同じ箱(ホール)なので、この差は楽器と奏者の差になると思います。
もう一つ。Cleveland Orchestra の Tuba 奏者 Prof. Ronald Bishop と話をする事が出来ました!開演前(迷惑な奴)、時間にして10分弱だったと思います。その間、楽器の事、歴代の指揮者の事(George Szell, Lorin Maazel の事)、色々話をしてくれましたよ。(バイオリンの様な楽器なら話しかけられる場面は見ますが、Tuba はあまり無いですよね。Prof. は「今晩は、もっと張り切らなくちゃいけないな。ま、見ててくれ。」と言ってくれましたよ。)久々に、ときめきました(笑)。会話中、目はきらきらしていたと思います。(普段は、くすんでますけど。)
Prof. Bishop の楽器は、C管はMienl-Weston 2000 、F管は Yamaha YFB 621でした。(YFB 822 は「ピッチが高すぎてダメだった。」と言っていました。)いずれも、銀色。長年使ってきた楽器 Alexander 163 (4ロータリー)は使ってなかったです。バルブが4つの Alexander で「じゃあ、どうやって Low E-flat を吹いていたのですか?」と聞いたら、「E-flat は問題ない。それより、D-flat だよ。それから、False Tone が使える。」と教えてくれました。「False Tone は、有効だよ。」と。Mr. Jacobs もそうやって言ってたな。(そういえば、Tuba Stand を使っていました。)
さて、同じ楽器を持っているだけに、Alex 163 が無かったのは、ちょっと残念。理由も話してくれました。
・Alexander は、音が大きすぎた。
・Alexander は、トロンボーンより音が飛びすぎた。
(・バルブが、4つ。)
これって、裏を返せば、それだけ彼の Alexander が凄いという事になります。最近変えたという事は、マエストロ Wesler-Möst が就任した時期と重なりますね。マエストロから、そういう指示が飛んだんじゃないかなと。そして、彼の Alexander はバルブが4つだから、上の二つの要件を満たしている5バルブの楽器を探したら、MW 2000 だったんじゃないかという勝手な想像。
でも、MW 2000 YFB 621 。どっちも、凄いよく聞こえましたよ。(Prof. は僕より体は小さかったな。だけど、あの音色は凄かった。SFSO の Jeff Anderson も上手だけど、普通に見える。)
僕の訛った英語にしっかり耳を傾け、話をしてくれました。温かい人柄で、(引退前に会えて)今日演奏会に行って本当に良かったと思いました。僕が持参した彼の昔のCD "The Antiphonal Music of Gabrieli" にサインもしてもらいました。Arnold Jacobs, Torchinsky, Chester Schmidt, Floyd Cooley, Warren Deck は、皆退いています。著名奏者で多分現役最年長でしょう。70才位で、何時引退しても不思議ではないので、生音を聴けて、直接話まで出来て、感激の夜でした。
2005年6月5日日曜日
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